岸辺のAlbum

teenstの日記

NLP2013チュートリアル; 臨終

言語処理学会の年次大会に出席するために名古屋に移動.
発表があるわけではないが,近くで開かれるため,せっかく会員なので参加することにしたのだ.

6時に起床し,6時40分に最寄り駅を出る電車に乗る.
大和西大寺まで行き,そこから特急に乗る.
西大寺では目の前に特急が止まっていたが乗り換え時間が1分で,
それまでの電車が1分ほど遅延していたため,間に合わないかと思い焦る.
30分ほど電車に揺られ,大和八木で名古屋行きの特急・アーバンライナーに乗り換え.

結局名古屋に着いたのが9時過ぎ.
沿線観光施設招待乗車券という片道乗り放題の株主優待券を事前に大阪で1500円で仕入れており,
特急券も1500円強なので3000円強で最寄り駅から名古屋まで2時間半で行くことが出来た.
新幹線の乗り換えコストや値段を考えると,時間に対してコストパフォーマンスはかなり良い方だと思える.
ただ本数が少ないので,乗り遅れたらどうしようもなくなる.

名古屋駅に荷物を置き,会場となる名古屋大学に向かって地下鉄を乗り継ぐ.
途中先輩方とホームでばったり会う.
一緒に会場へ行く.

午前のチュートリアルはアノテーションについて.
やってみないとわからないというのはまさしくそうで,研究の道のりの大変さの話でもあった.
メタ的な視点というのは重要だと思っているのだけれど,一修士の学生としてはまずはその対象をきちんとこなすことも重要なのだろうか.

大学構内の学食で食事.
うちの研究室の人が,助教も含めて皆で食事をするのもめずらしい.

午後のチュートリアル.
あまりピンとこなかったが,同期や先輩方は結構面白かったと言っていたので,なるほどとも思った.

チュートリアルが終わったので,名大を離れて名古屋駅周辺へ移動.
関西MTがあるという話だったのだが,特にMTに出ることも無いと思ったので,


研究室の誰かが言っていたけれど,せっかく外に出ているのだから,
その土地でしか会えない人と会うべきかなと思っていた.*1

名古屋駅周辺で百貨店を巡る.今回は地下街は探訪できなかったので,また後日と思っていた.
@さんと夕食を食べようという話になっていたので,名鉄百貨店



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ひつまぶしを食べた.


こちらでは,
特に祖父祖母の介護の話や,『アルジャーノンに花束を』の話,仏教の話をした.
家族に対してドライなところもあることは自覚しているのだけれど,どのようにドライなのかやウェットな部分はどこなのかということを話した.
誰を大切にしたいかということはきちんとさせておきたいかなと思う.
最近は就職活動の話か,上記の話しかしていない気がする.どちらも「初めまして」の人にはしにくい話だから,そういう人に恵まれているのはありがたいことだな.

ふと出るかと思って携帯電話を見ると着信が尋常じゃないほどたまっていた.
「就職活動関連の電話かしら」と思って詳細を見ると,父からの電話.
SMSも来ていたため中身を確認すると,
祖父が危険な状態,「一両日中に亡くなる可能性がある」ということが記載されていた.
あまりにもタイムリーすぎて興奮すらしていた.


父方の祖父は僕が大学に入学したあたりから痴呆症を発症していたのだけれど,
それに加えて昨年だか,「多発性骨髄腫」という血液のがんも発症していることがわかっていた.
去年の夏頃はまだましだったのだけれど,みるみるうちに弱っていき,今年に入ってからは本当に弱っていて,
仕事をしていたときは「本当に僕と同じ遺伝子か」と思うくらいガテン系の彼が,やせ細って辛そうだったのを覚えている.
祖父祖母に会うのが辛くて,僕はこの一年は本当に実家に帰省したくなかったのだ.

大学院に入ってから頭を悩ませていた問題として,祖父祖母の介護の話があり,
そのことを実家の父や母に任せざるを得ないということがあった.


これほど電話がかかってきているのだからと思い,店内で電話を行う.
「君には学会や就職活動があり,『まだ大丈夫な状態』なのだから急がなくても」と父は言う.
数回か電話をして,「亡くなった場合は切り上げて行くが,そうではなければ現状を維持する」と話した.
次の日も懇親会などもあったのだが,身内が亡くなった状態で流石に懇親会に参加できるほどではないし,
発表があるわけでもなかった.
しかし,身内の中でもかなりしぶとい方の人間だから*2,こういってはあれだけれど,取り越し苦労になるのも人生が関わっているということでそのようにした.


ただ,父は連絡をうけただけで,祖父の元にはいなかったらしく様態もわからないとのことで,
再度連絡をしてもらうことにして,@mai_10さんにつきあっていただいて,自分の気持ちを整理させていた.

あまり思い出のない祖父だが,一緒に過ごした日々はそれなりにはあり,彼の話し声は今でも自分の中で流れ続けている.
痴呆とはいいながらも,元々ボケた性格なのでそこまで致命的なことはなかったかなと思っていて,
夏に帰省したときは,穏やかに施設で過ごしていたことを思い出していた.


母からメールで連絡があり,亡くなったことを知る.
すぐさま移動を開始する.幸い当日中に帰れる場所,距離にあったため帰る旨を連絡し,
今後の予定を母から聞き出し,払い戻しやキャンセルや今後のリスケジュールを行う.

決まってしまえば早いもので,これから数日間は実家にいるのかと思いながらも,
帰るかどうか迷っていたときのほうがよほど辛かったことを思い出していた.
僕が帰る理由はもちろん第一は祖父をきちんと見送ってあげることだけれど,
猫の手も借りたい状況ならば,こんな僕でも役に立つだろうし,
父や母の精神的な助けになるだろうと思ったからである.


田舎だが僕が帰ってきた頃にでも煌々と明かりはついており,
時間にしては不釣り合いなほどの明るさは,これから始まる非日常を物語っているようだった.

父はPCを開いてなにかをまとめているようだった.
残念ながら死に目には間に合わなかったらしい.

祖母は長く空けていた家の整理をしていて,
あれがないこれがないと探していた.
いい加減寝ろとせかして寝ていただく.

父と母は仮眠をとり,僕は起きていることになったが,
残念ながら途中から僕も記憶は無い.寝たようだった.

*1:まぁ短い学生生活なので同じ釜の飯を食う仲間と違った土地で違った体験をするのもまた一興だと思うので,トレードオフだな

*2:痴呆症(アルツハイマー)が発症したとき,あまり先は長くないといわれていたにも関わらず,余命を超えて生きているわけだし