ミル『自由論』読んだ
J.S.ミル,10年前に倫理の参考書で出会ってから個人的に人気のある人だった.
「質的功利主義」の人として,センター試験の倫理という教科では取り上げられたけど,
この本はほとんど「質的功利主義」の話題が出てこない.
基本的に,社会生活における自由とはみたいな話が続く.
基本的には,何回も同じことを書いてくれてありがたさがある.
こういう本,行間を読む,筆者の考えを読むみたいな解釈問題になってしまうことが多いと思ってるので,
そういうのはやめようと思って,とりあえず言ってることを追うということに徹した.
そういう感じでも普通におもしろいと思う.
なんというか自分の思想(としてきたモヤモヤしたもの)に近いところはあるんだと思う.
あまり一世紀以上前の本という感じがしなかったけれど,
それでも今の時代とは違うので,どういう国があってどういう価値観があって......ということは
考えないと読めない感じだった.
あと,おおまかな主張は繰り返されるけれど,
それを支える一つ一つの話題は,本文の骨子に比べると,若干ついていきにくい.
しかしその一つ一つの話題が,自分自身の経験を思い起こして,
その度にページが止まるという体験があったからかもしれない.
そういうことを繰り返して,面白いと思うのだろう.
とにかく話の持っていき方が丁寧という印象を受けた.
しかし,「この話題はどの立場の話をしているんだ」とかいうこともあって,
読めるけど頭に入ってこない,わからないということが結構起きてた.
加えて,筆者の主張に対するツッコミが全然できない.
主張の穴がどこにあるか,今のところ全くわからないというのがある.
多分「読めるけど読めない」状態なんだと思う.
大衆の扱いもよくて,
全員が全員,最高の知性を持ってないという前提に立っているのは現実的.
便利なまとめがあったので書いておく.
ミル『自由論』を解読する | Philosophy Guides
この本に書いてあることを知ること,おもしろ活動をどうすればできるかという課題に対する模索の1つだと思っていて,
単なる無邪気さではなく,後ろ盾になるような思想が欲しかったというのがあるのだと思う.
それくらいしても,達成するには厳しいという気持ちがあるのだと思う.
他の人に影響されてるとかはあまりなくて*1,過去に考えられたことを,うまく利用してやろうと思っている.
時間が経ってるから結果もついてきてお得だし.
あと,J.S.ミルも似たようなことを言ってるけど,
システムの表面上を追うのと,課題意識まで降りてからシステムを追うのだと現実感がぜんぜん違うみたいなのがありそう.
英語だと無料で読める.
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光文社古典新訳文庫,
不自然な訳がなくほとんど訳で不思議に思うことはなかったけれど,逆に心配になるくらい読みやすかった.
- 作者: ジョン・スチュアートミル,John Stuart Mill,斉藤悦則
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