気づく人,気づかない人
賢い人と話すと,ああこの人はすごく気づく人だなと驚くことがある.
今の環境に身をおいていると,今の周囲の人はいい環境にいたんだなと思うことがある.
一種の学歴コンプレックスに近い.
一昨年のインターン中にメンターとなぜ僕が駄目かみたいな話をしていたのだけれど,
メンターは,「有言実行タイプ」と「有言不実行タイプ」に分けられるというようなことを言っていた.
僕の生まれた世界ではこれ以外に,「気づかないタイプ」の人が大量に存在していて,認知の差を感じた.
「有言不実行タイプ」は気づけてるだけよい.
僕の生まれた世界では「君は気づけてるだけマシじゃん」という励まし方をする人がたくさんいた.
高校の勉強でも,僕は気づけない人なので,非常に困っていたことを思い出す.
これが賢いクラスタになると,気づける人が格段に増えてくる.
気付ける人が増えると,どんどん簡単な問題はスルーされていき,高次元のより複雑な問題に取り組むことができる.
そうなると知識の差は広がる.
先輩と話していて,
数学Iの2次方程式の解の公式と解の個数,教科書で読むとなんのことかわからず,
当時はただ闇雲に問題を解いてたという感じのことを話していた.
実際に2次方程式の実数解の個数,解の公式に依存してて,
解の公式の中にあるルートの取り扱いが変わることによって,
個数が変わるという話なのだ.
今,教科書を読むと,確かにそうだなと思うけど,
高校生の時は教科書を読んでもわからないから,
とりあえず教員にそういうことを聞いたりしまくったということを思い出した.
私立大学の文系を受験する友人はこのへんはすべて暗記していると言っていたけれど,
そうならざるをえないくらい,高校生にとってはややこしいことなのだと思う.
この解の公式,今ではなんだか愛おしく思えるくらいなんだけれど,わからない人にとっては難しい.
出来る人はこれは,「何言ってるの,当たり前じゃん」って思うかもしれないけれど,
できない人は自力では気づけないから,十分に時間をかけるか教えてあげる必要がある.
また,化学反応式の係数の問題を解いてみる.
◯に入る係数を答えよ.ただし1の場合も書くこと.
◯CuO + ◯C → ◯Cu + ◯CO_2
気付ける人ならこのコンテキストをすぐに理解できる気がする.
「等価にしないといけない」とか気づけるから,あぁなるほど係数を書けばいいのかという感じになると思う.
でもこれをわかるには,分子や原子,化学式の表記法みたいなのも知ってないといけない*1し,
係数や割合ってものを知ってるってことも大切そう.
*2
でも,これにいきなり気づくのは普通の高校生には難しくて,
だからこそ人からの伝達や授業,練習が必要になってくるのだと思う.
昔はこういう気付ける人がエリートになっていたのだと思う.
だからほとんど考慮しなくてもよかった.
botが面白いことを言っていた.
自己責任論をやたら主張する教員は,「優秀」なので,研究が進まないのを「怠惰」の一言で片付けるようなイメージでござるよ
— なな (@NAIST_nerd) 2014, 1月 26
怠惰の一言で済ませたら思考停止でござる.その背景の人間の心理を考えて,どう生産性を向上していくかが大切でござる.大学院は教育機関でござるよ.
— なな (@NAIST_nerd) 2014, 1月 26
いいことを言ってて,確かにこういう面もある.
一理あるけど、本当に怠惰なやつもいるのも事実でござるよ。
— なな (@NAIST_nerd) 2014, 1月 26
怠惰と言われるのは学生のほうからもアプローチがないから言われてるんじゃでござる。一歩的に先生から指示を待つのはどうかと思うでござる。手も動かさず、頭も使わず、研究室にも来ず、先生に質問にも行かずだと、、個人的にはそういう学生には大学院は進めないでござるよ。
— なな (@NAIST_nerd) 2014, 1月 26
学部はまだしも院は研究機関では
— なな (@NAIST_nerd) 2014, 1月 26
このbotがすごいところは,自己批判能力もあることだと思う.
どっちも言ってることは正しいと僕は思う.
ただ,僕は前者の発言にわりと賛同する.でも大学院は教育機関でもあるけど研究機関でもあるよね.
Graduate studentは,StudentじゃなくてResearcherであるという自覚を持つべきだったと思う.
先ほど気付きの話をこの話に持ってくれば,いわゆる「怠惰」な学生は,どうでもいいことに気づいていたり,
重要なことに気づかなかったりするのだと思う.
前に進むモチベーションさえあれば,あとはわりとどうにでもなるとも思っていて,
最悪なのは,実際に怠惰だったとしても「怠惰」であると「怠惰な学生」にぶつけてしまい,
やる気を失わせることだと思う.
重要なのは「仲良しクラブ」になることじゃなくてどうやって「成果を出す」ことか.
そのためには本心を隠してでもやる気にさせたほうがいいし*3,
多くの人は人の発言の影響力を知らなさすぎる.
しかし教員も人間なので,言ったことがきちんと守れない怠惰な学生よりも,
言ったことが守れる怠惰でない学生の方を好む.
怠惰な学生に付き合い続けるのは,「しんどい」.
だからこそ,研究内容は情熱を持てる興味あるテーマに取り組むべきだと思う.
そうしないと情熱は簡単に崩れてしまうから.
上記では,教員・学生という軸で話していたけれど,
僕は先輩・後輩という軸や,上司・部下という軸,
彼氏・彼女という軸でいろいろ体験してみて,
これは研究室の中だけの問題では無いと思っている.
ここ最近ボクがしんどかったのは,
ある判断を仰いで,確認を取っていたのにもかかわらず,
やり終わったあとに,前と違うことを言われて,その仕事をすべて無に感じさせられたことだったりする.
お互い言い方ってものがあると思うというのもあるし,もっと早めに確認を頻繁に取っていれば,事前に止めることもできたかもしれないが,
まず最初には「なんで今さら...」という気持ちになったことがわりとショックだったことを思い出す.
これは,思考の奴隷化に近い.しかし自分自身を奴隷にしてはいけない.
僕が判断を仰いだ人が,僕のわかってなさに不理解だったこともあるだろうし,
僕の勉強不足も大きいと思う.反省しなければならない.
結局は自己責任ということもある.人のせいにしてはいけないという考えもわかる.
なんとかして僕は気づく人になる必要がある.
気づく人になるにはどんどん鍛錬をしていくというのがあると思う.
もともと才能がないのなら,それしか方法はないし,
それが駄目なら諦めることしかないと思う.
そして,僕らは工学的観点から,この問題を解決する必要がある.
この問題に気づけてる人はぼくが今いる世界ではあまり多くない.
どうすれば,個人の生産性をあげることができるか.
出来る人は勝手に伸びていくのだ.
出来る人だけを相手にしたほうがいいだろうけれど,
僕はできない人出身なので,できない人がどうすればハッピーになれるかってことを考えて,
実践し続けていきたい.